歯科衛生士の健康講座の第1講目です。
この講座では、お口のことだけではなくて全身の健康につながるお話をしていきたいと思います。
今回は、「夏かぜ対策」第1弾として、乳幼児によく見られる手足口病についてお話しします。
2011年に大流行した手足口病ですが例年、手足口病の定点当たり報告数は、全国もでピーク時、週1~5件です。
2011年は、約11件を数え、例年の2倍以上にのぼりました。
ことしもまさに大流行と呼べるような状況となっています。
症状の現れとして、急に38℃台の発熱があります。
続いて口の痛み、よだれ、食欲低下、手足の発疹がみられるようになります。
発疹は3~5mmの丘疹性紅斑に2~3mmの楕円形の水疱を伴い、手のひら、手の甲、足底、足の甲、膝伸側部、臀部などに現れます。
熱は2~3日で下がり、発疹も3~4日で水疱が吸収され、アメ色に変化して治ります。
発疹は体幹にも出ることがありますが、みずぼうそうと異なり手足が主体で、水疱は化膿せず、大きなかさぶたもできません。
単純ヘルペスは局所的に集まり、左右対称的になることはありませんし、水疱は大きく、中央にくぼみがみられます。
口のなかはヘルパンギーナと異なり、奥歯より前のほっぺたの粘膜や唇の内側、舌にも出ますが、ヘルペス性歯肉口内炎のような歯肉のはれや発赤はありません。
*ヘルパンギーナとは・・・毎年7月ごろをピークとして4歳以下の小児、とくに1歳代に流行することが多い夏かぜの代表疾患です。
高熱と口腔内の発疹(のどの奥に紅暈で囲まれた小水疱が現れる)が特徴的です。
特異的に有効な薬はなく、発熱や痛みに対する治療を行います。
夏に好発しやすく、痛みで食欲不振が強いと脱水の危険があるので、水分補給に注意します。
大人が罹患すると、3割ほどの方が40度近い高熱になり、さらに指先へ発疹やかゆみが生じることで、1~2ヶ月後に爪が剥がれてしまうこともあるのです。
もちろん子供の手足口病に見られるのと同じく手・足・口の水疱をはじめ、頭痛や筋肉痛、悪寒といった症状も起こります。
大人の手足口病は、子供とは比較にならないほど重症化する例があるのです。
手足口病の感染経路には咳やくしゃみによる飛沫感染、ウイルスのついた手で触れた物品を介する接触感染などがあります。
これは風邪やインフルエンザと同じく、マスクの着用や手指の消毒などで一定の予防効果があるということです。
また、大人の手足口病の場合には、感染している子供のオムツ交換をした後、手指の洗浄が不充分なまま食品を扱ってしまうことによる糞口感染が主な感染経路といわれています。
この糞口感染によって子供の手足口病が母親に移る例が多いため、オムツ交換の後は必ず手指を徹底洗浄する習慣をつけるようにしてください。