実体験を盛り込んだマタニティ・小児歯科講座の第五講目です。
街にはあちらこちらで、綺麗なクリスマスツリーやイルミネーションが飾られる季節になりました。
そろそろ大掃除もすこしずつ始めないといけないなぁと思い始めますね。
私は年末年始の時期にマタニティ生活を過ごし、大掃除で大変な思いをしました・・・
何が大変だったかというと、ちょうど「つわり」中だったのです。
妊婦の50~80%がなるといわれている「つわり」とはいったいどういうもので、お口にどう影響するのかを今回見ていきたいと思います。
妊娠期においては、かけがえのない我が子の誕生への期待が膨らむ一方で、ホルモンバランスの変化による劇的な変化に戸惑い、精神的にも肉体的にも不安定になりやすいです。
妊娠初期のつわりは妊婦にとって最初の大きな試練であり、周囲の温かいサポートが不可欠です。
つわりは妊娠4~7週あたりにはじまり、たいていの場合は12~16週頃で自然に消失しますが、それ以降も症状が続く場合もあります。
症状は悪心、嘔吐、食欲不振、胃もたれ、嗜好の変化、唾液量の増加、全身倦怠感、眠気、などなど個人差が大きいです。
吐いてばかりで脱水症状となり、点滴や入院となる場合(妊娠悪阻)まであります。
私の場合は、出産直前まで船酔い状態で胃もたれが続いてました。
つわりの原因としては、ホルモンや自律神経のバランスが急激に変化することが誘因となって引き起こされるのではないかと考えられていますが、いまだに明確にはされていません。
つわりになると酸味がつよいものや、柔らかく食べやすいものなど、歯に良くないものを好むことが多くなります。
また、歯ブラシを口に入れることさえできなくなったり、嘔吐を恐れて歯のブラッシングがおろそかになることなどから、妊婦さんのお口の中は不衛生になりがちです。
また、酸っぱい食べ物を好んで食べるようになると、お口の中は酸性に傾きます。
さらに、嘔吐が長期にわたり繰り返された場合、お口の中が頻繁に胃酸におかされ、妊娠中は唾液の機能が低下して、知覚過敏症や酸蝕症になるリスクも高まります。
つわりのときは無理をしないこと。
少しでも楽な時に、できるケアをするように心がけましょう。ハミガキ粉の味がダメ…という妊婦さんが多いようです。
匂いや刺激の少ないものに変えるか、それでもダメな場合はブラッシングをしましょう。
ブラッシングは食べカスや歯垢を落とすことができるためハミガキ粉が使えなくても十分効果があります。
ブラッシングもできないようならうがいをしましょう。
緑茶でのうがいは殺菌効果もあります。
うがいもできない時には小さめの氷をなめてみてください。
※緑茶にはカフェインやタンニンが含まれているため、うがいの際は注意してください
つわりで歯を磨くのがつらい時は
- ハミガキ粉は匂いや刺激の少ないものに変える
- ハミガキ粉がだめな場合は使わないでブラッシングする
- 歯ブラシはお口の中に入れやすい小さめのものにする
- 前屈みになって掻き出すように磨く
- ハミガキが苦痛な時はうがいをする
- うがいできない時は氷をなめる。
つわりの時期が過ぎてハミガキが無理なくできるようになったら歯医者さんでお口の状態をチェックしてもらいましょう。
出産後は育児や家事におわれ、なかなか歯医者さんへ行く時間もとれないものです。
出産前にお口の中をキレイにしておくことで、生まれてくる赤ちゃんのムシ歯を予防することができます。