実体験を盛り込んだマタニティー・小児歯科講座の第八講目です。
最近は暖かい日や寒い日があったりと気温の変化が激しい季節ですね。
体調管理に気をつけて下さいね。
さて、今回は妊婦さんのほとんどが酸っぱいものを好んで食べる傾向についてお話ししたいと思います。
「妊娠したら、すっぱいものが食べたくなる」とよく聞きますが、なぜでしょう。
実は・・・これといった理由はありません・・・
強いていえば、妊娠によるホルモンや体質、環境、精神的な変化によるものといわれています。
酸味のあるものや冷たい水分は、つわりの時の胸やけや口の中のネバネバした感じをさっぱりとさせてくれるからかもしれません。
また、「ビタミン類を体が欲している」ということが言えそうです。
料理に酢を使う、かんきつ類の果物を食べる、などすっぱいものを食べることは、
[1]疲れの回復を早めるクエン酸が補える、
[2]かんきつ類の果物はストレスを緩和したり、鉄の吸収を助けるビタミンC源になる、
[3]オレンジは貧血予防に効果的な葉酸が豊富、など妊婦にとってプラスになることが多いといえます。
では、「酸っぱい食べ物」について例をあげてみていきましょう。
トマトは妊娠中に人気のある食材です。
トマトやレモンのように、「酸味」があり、「水分」を多く含む食材は、妊婦さんにとって「吐き気」から自分を守る「強い味方」となってくれるのです。
その意味では、「かんきつ類」なんかもオススメです。
「グレープフルーツ」は特に人気です。
少し砂糖をかけて食べておくと、糖分の補給にもなりますし、多くの妊婦さんがグレープフルーツを好んで食べておられるようです。
さらに、「キウイフルーツ」も良いでしょう。
妊婦に大切なビタミン類を多く含んでおり、適度な酸味もあります。
さらに、「梅干し」もオススメの食材です。
梅干しにも「ミネラル」や「ビタミン」などの栄養素が多く含まれており、妊婦としての栄養補給には欠かせない食材でしょう。
私は妊娠初期に、「梅干し」特にカリカリ梅ばかり食べていた時もありました。
また、「毎日おちょこ一杯分」の「お酢」を飲むこともオススメです。
お酢は、体の栄養バランスを整えてくれる効果があり、胃腸の活動も活発になりますので、妊娠中で食欲が減退している場合は積極的に摂取しておきましょう。
なお、奥さんにつられて、ご主人さんも「酸っぱいものが食べたくなる」ということがあるそうです。
これを「ともづわり」と呼んでおり、医学的には何の根拠もない現象なのですが、ご夫婦揃って「酸っぱいもの尽くし」を楽しむのも、出産を迎えるまでの「食事風景」と呼べるかもしれませんね。
しかし、気をつけたいのが・・・
すっぱいものが食べたくなるために、酸性食品の摂り過ぎたりしがちです。
さらには、ダラダラ食いなどで過食ぎみになったりと、食生活が乱れやすくなってしましいます。
また、自分自身のことがおろそかになりがちな時期なので、口腔ケアも不十分になってしまうことがよくあります。
一度にたくさん食べられずに、少しずつ何回にも分けて食事をするなど、食習慣も変わります。
加えて妊娠によるホルモンの変化で、女性ホルモンを好む歯周病細菌が活性化します。
この時期は、唾液や胃液の酸度が変化するうえ、つわりで十分な歯磨きができないことから、歯垢が溜まりやすくなり、酸が歯のエナメル質を溶かしたり歯ぐきが炎症をおこしたりして、むし歯や歯周病にかかりやすくなります。
特に歯周病は悪化しやすく、歯肉がぷっくりと腫れて出血しやすい状態になります(妊娠性歯周炎)。
妊娠中のこうしたトラブルを防ぐためには、ふだん以上に歯磨きが必要になるのです。
妊娠中はお口の中の環境が悪化して、むし歯や歯周病になりやすい状態なのです。
妊娠がわかったら、ふだんよりもお口のケアに気をつけましょう。