歯科衛生士がお話しする歯の講座の第九講目です。
三月に入り、ひなまつりも昨日終わりましたが、まだまだ寒い日が続いてますね。
引き続き体調管理に気をつけてお過ごしくださいね。
さて、今回は前回「歯がなくなる原因」のお話をさせていただき、その中で言葉の説明をお話しさせて頂くと述べたので、順次お話ししたいと思います。
これから、歯にまつわる様々なお話をしていくわけですが、どんなお話をするにしても、まずは歯の構造を知らなければ話が始まりません。
何をするにしても、対象物に対する知識を深めるのは重要なことです。
専門的すぎて面白くないかもしれませんが、できるだけわかりやすくお伝えしようと思います!
歯ぐき(歯肉)より上に見えている「歯冠部」
人間の身体の中でもっとも固い組織である「エナメル質」が、「象牙質」、「歯髄(神経)」を外側から覆っています。
- ●エナメル質
- 歯の一番外側。外部からの感染をふせぐ鎧のようなもの。鉄よりも固い組織です
- ●象牙質
- 歯の主体となっていて、歯髄(神経)を取り囲む組織です。
虫歯でエナメル質のバリアが破られると象牙質では速度を速め、急速に広がります。 - むし歯がここまで進行すると痛みを伴う場合があります。
- 象牙質は一度ダメになっても新しいものがちゃんと作られるという特長があります。
けれど、この上にあるエナメル質はダメになったらもう新しく作られることはないのです。 - ●歯髄(神経)
- 一般的に神経と呼ばれている部分です。
痛みを感じる神経と、水分や栄養を供給する血管からなっています。
むし歯がここまで進行すると夜眠れないくらい痛みが強くなります。
歯ぐき(歯肉)より下の部分の「歯根部」
歯ぐき(歯肉)によって、歯槽骨や歯根膜といった組織が守られています。
- ●歯ぐき(歯肉)
- 私たちがふだん歯ぐきといっている部分は歯肉(しにく)ともよばれています。
歯槽骨を覆う粘膜です。
歯槽骨、歯根膜を守る役割があります。
歯ぐきことは歯肉炎(しにくえん)のお話しでもっとくわしく紹介しています。 - ●歯槽骨
- 歯槽骨は歯をささえている、あごの骨(ほね)です。
あごの骨ということは頭蓋骨(ずがいこつ)にもつながっています。
歯周病が進行すると破壊されていきます。 - ●セメント質
- セメント質は歯の根っこをおおって、グラグラしないようにささえている部分です。
セメント質には象牙質を守るはたらきもあります。
ほんの少しの部分ですが、とても大切な役割をもっています。 - ●歯根膜
- 根の表面と歯槽骨をつないでいる組織で、かんだ時の感覚を感じる部分です。
歯槽骨に刺激が伝わらない様にクッションの役割をする組織でもあります。
ここで、乳歯と永久歯の違いも見ておきましょう!
子どもから大人に成長するにつれて、あごも成長して大きくなり、歯も「乳歯」から「永久歯」へと生えかわり、噛む力も強くなります。
色 ・・・乳歯は白に近く、永久歯は黄色味を帯びています。
大きさ・・・乳歯の方が全般に永久歯よりひとまわり小さい歯です。
歯質・・・エナメル質、象牙質ともに乳歯の方が薄いため、すぐに神経(歯髄)に到達し、痛みも大きく、乳歯のむし歯は早く進行するので注意が必要です。
歯がダメになってしまうと入れ歯や差し歯のお世話にならなければならなくなります。
若いうちから歯がダメになって入れ歯、なんて悲しいですよね。
歯を大事に使っていくためには、歯は勿論のこと、歯の周りにも気をつけていかなければならないことがわかっていただきましたか。
歯を支えている部分のお手入れも十分に行わなければ、歯をいい状態のまま維持することは難しいです。
歯の構造をおはなしさせていただいて伝えたかったことは、歯自体はもちろん、歯の周りの組織のお手入れも大切だということです。