歯科衛生士がお話しする歯の講座の第14講目です。
梅雨の真っただ中、湿度もありジメジメとしてますが、熱中症にも気をつけたい時期ですね。
特に小さいお子さんやお年寄りの方は、注意が必要ですね!
さて歯の講座では、むし歯についてをシリーズでお届けしています。
前回は「C2(進行した虫歯)」についてお話ししました。
今回は「C3(歯髄まで進行した虫歯)」についてお話します。
C3(歯髄まで進行した虫歯)とは
歯の中には神経と血管があり、この部分を歯髄と呼びます。
歯髄は、細い血管やリンパ管、神経等の集まった組織で、歯に酸素や栄養分を運んだり、不要な排泄物を取り除いたりしています。
歯髄炎は、虫歯が歯髄まで進行(C3以上)した場合や、歯髄に何らかの刺激が加わることによって発生する炎症のことをいい、生活歯(歯髄が生きている歯)に起こります。
症状
(急性状態の場合〕
- 何もしていなくても痛みがある
- 甘い物や、冷たい物、熱い物、酸っぱい物を食べると痛む
- 歯を噛み合わせると痛む
〔慢性状態の場合〕
- 自覚症状がない
- 不快感や違和感がある
お口の状態によってさまざまな症状が現れます。
このような症状がありながら放っておくと、歯髄が死んで歯根嚢胞(顎の骨に膿がたまる病気)や顎骨骨髄炎(顎の骨に炎症が波及した病気)などが起こることもあり、その後の治療が難しくなったり、治療に時間を要したりすることが考えられます。
症状がある場合は、速やかに受診し、適切な処置を受けることが必要です。
治療法
虫歯が歯髄まで進行(C3以上)した場合や、根の病気になってしまった場合には、根管治療が必要になります。
根管治療とは、リーマーやファイルと呼ばれる器具で細菌に感染してしまった歯質や神経を徹底的に除去し、歯の根の病気(根尖病変)を治療・予防するものです。
歯髄を取ってしまうと歯に栄養が行かなくなり、歯が脆くなったり、色が変わってしまったりするなど、歯の寿命が短くなってしまいます。
この根管治療(歯の神経・根の治療)は、実はかなり難しいのです・・・。
なぜなら、根っこの中は直接見ることができず、形も人それぞれなので完全に細菌を取り除くことが非常に難しく、しかも細菌を取り残した状態で詰め物を詰めたり、クラウン(差し歯・かぶせ物)をかぶせてしまうと、後々細菌が増殖してトラブルが出てきてしまうこともあるからです。
後からトラブルが出てきてしまった場合には、ほとんどのケースで前に治療した詰め物やクラウンなどは作り直さなければならず、最悪の場合は抜歯になってしまうこともあります。
(かぶせ物を外さずに、上から穴を開けて治療可能な場合もありますが、一般的には詰め物やかぶせ物を外して作り直します)
歯髄の治療中は、医師の指示がある場合を除いて、長期間来院が開いてしまうとお薬の効き目が切れてしまうだけでなく、状態が悪化して治療期間が延びてしまったり、お痛みが出る可能性がありますので、できるだけ期間を開けずに通院することが大切です。
虫歯が歯髄まで進行して根管治療が必要になると、治療が一気に大変になってしまいます。
ここまで来る前であれば治療も簡単で短期間に終わることが可能なので、やはり予防をしっかりとすること、定期的に歯医者に行って早期発見・早期予防に努めることが大切です。