実体験を盛り込んだマタニティ小児歯科講座の第17講座です。
お盆休みが始まっている方もいらっしゃる方もいると思いますが、みなさんはどこかへ行かれますか?
藤村歯科クリニックのお休みは8月17~20日です!
さて 最近、ママ友の間で話題に上がるのが「一歳過ぎても母乳あげてると、むし歯になるのかなぁ・・・」
「そろそろ断乳?しないといけないのかなぁ・・・」
母乳は本当に虫歯の原因になるのでしょうか。
こんな実験があります。
乳歯を母乳の中に浸しておいて、虫歯になるかどうかを確認したそうです。
結果は、その乳歯は虫歯にはなりませんでした。
なぜ母乳が虫歯の原因と言われるのでしょう。
母乳の子は、夜間に何度もおっぱいをくわえることが多いです。
1歳をすぎれば、すでに離乳食も進んできており、乳歯に歯垢が付着したまま夜間授乳をすることで、虫歯を誘発するのは事実です。
遺伝的に歯のエナメル質が弱くて虫歯になりやすい子もいます。
先天的なエナメル質の強度の問題では、母乳は直接的に関係しないと思いますし、お砂糖を使っていないおやつや食事を意識するだけでも、母乳っ子の虫歯はある程度避けられるのではないでしょうか。
たとえ虫歯になったとしても1歳からの母乳の意味のほうが比重が高いと思います。
子どもの長い人生を考えたときに心の成長を促す「おっぱい」は、とても大切な意味を持っています。
ろくに歯を磨いていなくてもよだれが多い子は虫歯になりにくかったりするし、ママの口のなかの虫歯菌が少ない場合、ママの子も虫歯になりにくいです。
決して、おっぱいだけが悪なのではありません。
だけど、「おっぱいが虫歯の原因」 というウワサを聞いたら、ママたちはは早く断乳しなければと焦りますよね。
ポイントは、歯垢です。
とくに上の歯についた食べかすをキレイに取り除いてあげることに気をつければOKです。
子どもは夜間の授乳では、舌で上手に乳頭を丸め込んで母乳を上あごにくっつけた状態で口の中に溜めたまま飲み込まずに何時間でも眠ってしまいます。
歯垢と母乳に含まれる乳糖が反応することで虫歯を誘発するのです。
ですから寝る前の歯磨きを念入りにすることです。
それさえ守れば、母乳そのものは虫歯の原因にはなりません。
周りからの根拠のない指導に焦って断乳してもろくなことはありません。
あまり食べないからといって授乳をやめても、離乳食を食べるようになるとは限りません。
また、自我が芽生えてくるのが1歳児です。
いわゆるイヤイヤ期の始まりです。
その支離滅裂な子どもの行動が、長くおっぱいを吸わせているせいで自立できないのが原因だと誤解されることがありますが、自我の芽生えとおっぱいを長くやっていることとはまったく関係ありません。
子どもの気持ちを落ち着かせるためにおっぱいをくわえさえることはとても大事だといわれています。
自己主張し始めた2才児の反抗的行動でさえ最低限におさえることもできる、おっぱいとは、本当に便利で素晴らしいものです。
自力で感情をコントロールできない未熟な1~2歳児は、満足いくまでおっぱいを飲むことで自立できる強い心を育んでいくのです。
1才から2才にかけ、突発性発疹、さまざまなウィルス感染症など、さまざまな病気ともご対面していきます。
体調不良で離乳食を食べられなくなることがあったとしても、おっぱいだけは、飲めるから不思議です。
栄養不足になることが少ないので母乳っ子は病気の治りも早いです。
おっぱいは心ゆくまで飲ませてかまいません。
たとえ、少々虫歯ができちゃったとしても、この時期に築いた親子の絆の深さは、ママと赤ちゃんとの大切な人生の1ページになると思います♪
長期間の母乳育児は子どもにとって絶対的な安心感と信頼感を得るための ホッとリラックスできる場所です。
栄養がなくなるどころか、ママから離れて独り立ちする 子どもの、精神安定剤的な意味があるのです。
人は、身体だけではなく心も成長していくのです。
母乳は子どもの心にも栄養を与え続けてくれます。
だから、離乳食を始めたからといっておっぱいをやめる必要はないし、1歳を迎えたからといってやめなければいけないものでもありません。
ママと赤ちゃん両方が、満足するまで、いくらでも続けてかまいません!
子供がおっぱいから自然に離れていくその日まで、母乳育児を楽しみましょう。
そして、ママも赤ちゃんもお互いが納得、気持ちよく、おっぱいを卒業したら歯磨きを通して更なる親子の楽しい時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?