歯科衛生士がお話しする歯の講座の第18講目です。
9月に入りましたが、まだまだ暑さが続いてますね。
湿度が高い時期であるので一番食中毒に気をつけなければならないです。
十分気をつけて楽しい食欲の秋を過ごして下さいね 🙂
さて、「虫歯で歯が痛いと思っていたら頭痛までしてきた」と困っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
頭痛は体に不調が起こると出るシグナルです。
口の中では虫歯だけに限らず親知らずや歯ぎしりによっても頭痛が引き起こされます。
今回はその中でもむし歯になることで、頭痛になってしまう原因をお話しします。
虫歯の痛みによって起こる頭痛
虫歯が神経の近くまで達すると強い痛みが出てきます。
あまりに強い痛みは神経を伝わり、どこが痛いかわからないくらいになり、頭痛をも引き起こします。
原因の歯を特定し歯医者さんで神経の治療をする必要があります。
しかし、痛みが強すぎて本人でもどこが痛いのかわからなかったり、金属の下で虫歯が広がっているときがあります。
さらに、虫歯を放置して大きくなってしまうと虫歯菌が血液から脳に入り脳梗塞などの病気を引き起こし、頭痛の原因となることがあります。
また、歯が痛いということが脳梗塞の予兆となることもあります。
歯は体の一部であるということです。
虫歯菌は常在菌(じょうざいきん)のため少量では問題がありませんが、大量に、長期に続くと全身に影響を及ぼしてしまいます。
そして、体の抵抗力が低下しているときに虫歯菌が心臓、脳、骨、鼻などに感染してしまうと死に至ることがあります。
健康な人で起こることはまれです。
高齢の方は肺に入り肺炎を引き起こすことがあります。
その状態になる前に、異変に気づいたらすぐに歯医者さんで精密検査をしましょう。
上顎洞炎によって起こる頭痛
上顎の奥歯の虫歯が進行し、神経が死んでしまったり、根の治療が不十分だった場合、細菌が上顎洞に入り込み上顎洞炎になって頭痛を引き起こします。
上顎洞炎は副鼻腔炎ともいわれ風邪を引いたり鼻の病気の方にも同じように起こります。
上顎洞に接近した歯が虫歯や歯周病」で炎症を起こしたとき、逆に上顎洞に炎症が波及することがあるのです。
この現象を「歯性上顎洞炎」と呼びます。
歯が原因の「歯性上顎洞炎」は全体の10~30%を占めています。
CTによる診断を行い、抗生物質と原因の歯の治療が必要になります。
自分の上顎洞部分と上の歯の根が接しているかどうかは、見ただけでは分かりません。
歯科医院などで撮影するレントゲンなどで確認することができるので、機会があれば確認し、もし接近しているようであれば、上の奥歯の虫歯や歯周病などはできるだけ早期治療をすることを心がけることをオススメします。
なお、この病気は下あごでは起こりません。
下あごの骨にはこのような空洞は存在しないからです。
噛み合わせの乱れによって起こる頭痛
咬み合わせが悪いことで、次のような悪影響を及ぼすおそれがあります。
むし歯などが原因で、歯を抜いてそのままにしていると周りの歯が倒れてきたり、噛み合う歯が伸びてきたりして噛み合わせのバランスが崩れてきます。
筋肉や関節、体のバランスなどが崩れ頭痛を引き起こすことがあります。
そして、乱れた歯並びには食べカスが詰まりやすく、ブラッシングもしにくいので磨き残し箇所が増えてしまい、、虫歯や歯周病にかかるリスクが高まります。
発音や滑舌に支障が出たり、噛み合わせの悪さから顎関節症や頭痛、めまい、肩こりなどを招いたりすることもあるなど、全身への影響もはかりしれません。
ずれてしまったかみ合わせを戻す治療を行い、左右均等に噛めるようにしていければ頭痛や不調は改善する傾向にむかいます。
体は血液によってすべての場所がつながっています。
お口の中のトラブルを放置することによって重大なことが起こる場合もあります。
虫歯や治療途中の歯を放置すれば時間も費用も多くかかり、命の危険まで及ぼすこともあります。
そのままにせず歯の検診を受けましょう!