歯科衛生士がお話しする歯の講座の第21講目です。
立冬も過ぎ、少しずつ寒さが感じるようになってきましたね 😉
寒さを感じやすい洗面所での歯磨きが億劫になりやすい時期になってきましたので、気を付けて頂きたいものです 😥
さて今回は、前回の流れの続きとして、歯周病の原因についてお話しさせて頂きます。
「歯周病について」もシリーズでお話しさせて頂きますので、次回からも楽しみにしていてくださいね。
歯周病とは、「歯」(は)の「周」(まわり)の「病」(やまい)と書くように、歯を支える骨や歯茎(歯周組織)が病気になっていくことをいいます。
そして「静かなる病気」と呼ばれるほど、自覚症状がほとんどないまま進行する細菌感染症です。
日本人が歯を失うもっとも大きな原因の歯の周りの病気の総称です。
歯周病の初期では自覚症状がほとんどないので気付いていない方が多いだけで、実際には日本人の成人の約80%が歯周病(歯肉炎or歯周炎)にかかっているといわれています。
歯周病と同じ意味で「歯槽膿漏(しそうのうろう)」という言葉もありますが、歯槽膿漏は字のごとく、「歯周組織から膿(うみ)が出る」症状のことなので、 厳密にいえば歯槽膿漏は歯周病の一症状のことなのです。
しかし最近では「歯槽膿漏=歯周病」として、歯槽膿漏という言葉はあまり使われなくなり、歯槽膿漏を含 めて歯周病という言葉を使う事が多くなっています。
前回の歯の講座でお話ししましたが、歯茎が炎症を起こし、腫れたり、出血することを「歯肉炎」といい、歯肉炎からさらに進み、「歯肉炎」の状態に加えて、歯を支える骨が溶けた状態になると「歯周炎」といいます。
もちろん支える骨が溶け出すと歯はぐらぐらしだし、根の先まで溶けきると歯は自然に抜けてしましいます。
どちらも初期段階では痛みなどの自覚症状は少なく、気づくと手遅れなことが多いです。
歯周病の原因
歯周病の主な原因は、歯周病を引き起こす細菌(歯周病原性細菌)で、それらが歯茎や骨に感染を起こしていくことにより発症する感染症です。
また歯周病原性細菌は「常在菌」と呼ばれる常にお口の中に存在する細菌で、常に歯周病を引き起こそうとしています。
しかし人間には「免疫力」がありますのでその免疫力が優勢であれば歯周病が引き起こされません。
つまり「免疫力」<「歯周病原性細菌」となったときに歯周病は進行してしまうのです。
そのほとんどの場合が免疫力はそのままで歯周病の細菌が増殖し、免疫力より勢力が拡大して発症することがほとんどです。
歯周病の細菌は人間が食事をした後に歯につく食べかす、いわゆる歯垢(プラーク)が大好きです。
つまり歯垢が細菌の餌になり、食べた細菌はどんどん増殖していきます。
また歯垢を食べた細菌は、同時に歯周病を引きこす毒素を出していきます。
この毒素が歯茎まで感染すると、歯茎は出血したり、腫れたり、膿が出るようになったりします。
さらに感染が進み、歯を支える骨まで毒素の感染が進むと、骨は毒素によって溶かされていきます。
もちろん歯を支える骨がだんだん溶けていくと、歯はぐらぐらするようになり、あまりにも進みすぎてしまうと歯は自然に抜けてしまいます。
歯を支える骨がかなり溶けて歯がグラグラになるなど重度になってから気付いて手遅れになることも少なくはありません。
現在日本人が歯を喪失する原因1位の 病気から大切な歯を守るには、歯周病に対する正しい知識を持ち、「歯を守りたい」というご自身の意識と、早期発見・早期治療がポイントになります。
次回は歯周病の進行についてお話しします!