歯科衛生士がお話しする歯の講座の第26講目です。
寒さが和らいだかなあと思えば、今週は寒の戻りですね 😯
体調を崩さないように気を付けてくださいね!
そんな気温の変化がある日々ですが、花粉の飛散量も日々気になるかと思います。
花粉症の人にはつらい季節の到来だと思いますが、今回は花粉症で歯も痛くなるかもしれないという講義です。
花粉症による鼻炎や、いわゆる「鼻にくる風邪」では、急性鼻炎を起こす場合があります。
典型的な症状として、鼻水の増加や鼻粘膜の肥厚(腫れ)、粘膜が腫れて膨らむことによる鼻閉感(鼻づまり)、鼻水が喉に垂れこむために痰(たん)が絡んで咳が出る、などです。
鼻炎になると鼻の穴の中だけではなく、鼻とつながっている各所にも炎症を生じます。
目の下で鼻の横、ちょうど頬(ほほ)の辺り、上あごの骨の中に「上顎洞(じょうがくどう)」という空洞があります。
この空洞は鼻腔とつながっていて、空洞の内側は鼻腔と一続きになった鼻粘膜が裏打ちしています。
この上顎洞に炎症が生じ、たくさんの鼻汁が溜まった状態や、腫れた鼻粘膜が空洞内に充満した状態を「上顎洞炎」と言います。
いわゆる「蓄膿(ちくのう)症」のことです。
上の奥歯の根の先はちょうど上顎洞の底に位置しているため、鼻に強い炎症を生じると歯根の先が刺激されて、まるで虫歯のような歯痛を生じることがよくあります。
この場合の歯の症状としては、「咬むと痛い」「歩いたりすると響くような感じがする」が多いです。
虫歯ではないため、「冷たいものが滲みる」などの症状は通常出ません。
風邪が流行る冬場や、春先の花粉症の季節には、鼻炎から歯が痛くなった患者様が来院されれることもあります。
鼻炎による歯痛なのか、虫歯による普通の歯痛なのかはレントゲン写真を撮ればわかります。
花粉症や風邪をひいた後で上の奥歯が痛い場合は、歯科医に相談するのが良いでしょう。
また、この逆で、虫歯を放置し、根の先端部分から上顎洞に細菌が入り込む、あるいは歯周病が進行し歯の周囲から細菌が入り込むなどして、歯の根の周囲が化膿している状態から鼻炎を起こすことがあります。
これを「歯性上顎洞炎」と言い、通常の鼻炎や上顎洞炎と区別しています。
歯性上顎洞炎の例
黄色い点線の内側が上顎洞で、右側に比べて左側の方が白っぽいのが分かるかと思います。
上記の図はパノラマ写真というものですが、より詳しく診断を行うのに有効なものとしてCT撮影があります。
藤村歯科クリニックでは、CT撮影が可能ですのでご相談ください!
歯に原因がある以上、その歯を抜歯するか、根の治療を行うなど、耳鼻科的な治療だけでなく、原因歯の治療をしないと治らないため厄介です。
上の奥歯で放置した虫歯がある人は、そうなる前に早めに対処しましょう。
花粉症や鼻炎が、いつの間にか歯に悪影響を及ぼしている場合もあります。
それぞれの分野でしっかりと診査・診断を受けることをおすすめします!