歯科衛生士の健康講座の第2講目です。
猛暑が続いていますね(;^ω^)
しっかりと水分・塩分・栄養、そして十分な睡眠をとって体調を整えましょう 😆
さて、歯周病が原因でほかの病気にかかりやすくなるのか、またその逆もあるのでしょうか。
歯周病と全身疾患との関係については、この20年、国内外で盛んに研究が行われており、そのメカニズムが少しずつわかってきています。
歯周病に関連があるといわれている全身疾患と歯周病との関係について、最新の研究結果も交えながら疾患別にシリーズでお話ししていきます。
今回は歯周病と骨粗鬆症です。
骨粗鬆症とは・・・
骨の強度が低くなって、軽い衝撃でも骨折を起こしやすく、圧倒的に女に多い病気です。
閉経を迎える50歳前後から骨量が急激に減少し、60歳代では2人に1人、 70歳以上になると10人に7人が骨粗鬆症といわれています。
これは、女性ホルモン(エストロゲン)が骨の新陳代謝に関わっているからです。
その他、年齢や遺伝的な体質、偏食や極端なダイエット、喫煙や過度の飲酒、運動習慣なども骨粗鬆症の原因として考えられており、最近では、若い女性の骨粗鬆症も問題になっています。
骨粗鬆症と歯周病の関連
歯周病にかかると、歯周病菌が歯茎に炎症を起こして、歯を支えている骨(歯槽骨)を溶かしていきます。
体の骨と歯槽骨の関係を調べた研究の大部分では、体の骨密度と歯槽骨の吸収の程度には関係があるという結果でした。
たとえば、骨粗鬆症の人たちと正常な骨密度の人たちを三年間観察したところ、骨粗鬆症の人たちのほうが歯槽骨の吸収が多かったとの報告があります。
お口の中に歯周病菌がいるかどうかは、歯周病が進むかどうかの強力な要因ですが、その要因や年齢が同じくらいの人同士で比べると、体の骨密度が低い人のほうが、歯槽骨の吸収が進みやすいといえそうです。
骨粗鬆症の治療に使われるお薬
初期の骨量減少なら、食事や運動などの生活習慣を改善することで、骨量が増えてきます。
病気が進むと、薬物療法をはじめます。
骨粗鬆症治療の目的は、骨折を予防し、この先長く、日常生活を快適に過ごすことができるようにすることです。
現在、使われている薬には、骨の吸収を抑える「骨吸収抑制剤」、骨の形成(新しい骨を作る)を助ける 「骨形成促進剤」、骨の栄養素である各種ビタミン(D、K)剤などがあります。
どんな薬を選んで、いつから薬物療法をはじめるかは、 年齢や症状の進み具合によって医師が判断します。
既に骨折がおきてしまった場合には、骨折の程度に応じた手術やギブスによる治療が必要な場合もあります。
骨粗鬆症のお薬と歯科治療
骨粗鬆症の患者さんがお飲みになっているお薬の中には、歯科治療との相性をよく考える必要のあるものがあります。
その代表ともいえるものが、「ビスフォスフォネート系薬剤」というものです。
「ビスフォスフォネート系薬剤」の副作用として、「顎骨壊死」というものが 報告されています。
顎骨壊死・・・文字のとおり、アゴの骨が傷んでしまう状態のことです。
よって、骨粗鬆症のお薬をお飲みになっていらっしゃる患者様に、歯を抜くなどのアゴの骨に少なからずダメージを与えてしまう処置を行う必要性がある場合は、お薬について、担当医の先生と話し合う 必要が生じます。
骨粗鬆症のお薬をお飲みになっていらっしゃる場合は、なるべく早い段階で 歯科医師に教えていただければ、対処しやすく、患者さんへの負担も 軽くなります。
歯周病は予防・治療できます。
お口の健康を改善することで、全身にも良い影響があるということをお伝えしていきたいと思います!