実体験を盛り込んだマタニティ・小児歯科講座の第55講目です。
あっという間に5月も終わりですね。
テントウムシやセミの抜け殻もあったりともう夏を感じますね。
さて、実体験を盛り込んだマタニティ・小児歯科講座では妊婦さんの歯科治療についてお話ししています。
妊婦さんも歯の治療は受けられます。
妊娠中から予防をしていてずっと健康なお口で過ごせるのが理想とは言え、もし妊娠中に悪化しても、基本的には通常の歯科治療を受けられます。
妊娠中の歯科治療
受けられる時期と注意点は
妊娠初期(妊娠0~15週)
つわりで繰り返しおきる嘔吐や、嗜好の変化と偏り、吐き気による歯磨き不足などのために、むし歯や歯周病になりやすいお口へと急激に変化しやすいです。
注意点・・・赤ちゃんの重要な器官がつくられる大切な時期。
流産の危険性も考慮して、痛みや炎症をひとまずとめるための応急処置にとどめ、本格的な治療は安定期か産後に行います。
かかりつけの歯科医院で必ず定期的に経過観察を受けましょう。
妊娠中期(妊娠16~27週)
徐々につわりがおさまって歯磨きが楽になってきます。
一方、食欲が増して間食の回数が増えるなど、食習慣の変化が虫歯の原因になりやすい時期です。
注意点・・・胎盤が完成する安定期に入ります。
産後まで治療を待てない場合、一般的な歯科治療を受けることが出来るといわれています。
激しい急性炎症を起こすような進行した歯周病や親知らずの抜歯は必ず産科の主治医と相談しましょう。
妊娠後期(妊娠28~39週)
赤ちゃんが急激に成長して子宮が大きくなるので、胃が圧迫されて一度にたくさん食べられません。
ちょこちょこ食べる必要があるので、むし歯のリスクが上がる時期です。
注意点・・・仰向けで診察を受けると大きくなった子宮に大静脈を圧迫され低血圧を起こしやすくなります。
産科の主治医に相談し、歯科受診の際はチェアの背を少し立ててもらって短時間の応急処置にとどめるなど、体調に合わせた治療計画を立ててもらいましょう。
妊婦さんの歯科受診
こんなことに気を付けて
妊娠中だと教えてください。
妊婦さんの治療では、使用する薬剤を妊娠期に合わせて配慮させていただいています。
来院した際には妊娠中だと必ず伝え、「母子手帳」をお持ちください。
また、産科の主治医に注意を受けていることがあれば教えてください。
産科の主治医にも相談を
歯科治療をご希望の方は、妊婦健診の際に産科の主治医に相談してみましょう。
妊娠高血圧症や妊娠糖尿病などにかかっていたり、外科などの大きな治療が必要な場合は、必要に応じて歯科と産科が連携し全身状態を把握して治療を進めます。
治療の相談はお早めに
妊婦さんのお口の中は、妊娠前とくらべて虫歯や歯周病が進行しやすくなっています。
治療を躊躇すると思わぬ悪化を招くこともあるので、症状が軽いうちに歯科医院で検査を受け、体調に合わせて治療が受けられるように治療計画について相談しましょう。
親知らずのトラブル
「親知らずの抜歯を先延ばししている」というかた、多いのでは?
むし歯も進行しやすい妊娠中は、急に親知らずが悪化して抜くはめになるかたが意外と多いといわれています。
また続きます・・・