歯科衛生士がお話しする歯の講座の第62講目です。
梅雨に入りじめじめとした毎日ですね。
ほとんどの人に「あるのが当たり前」の唾液。
けれどもお口の健康にも全身の健康にも欠かせません。
だ液にはたくさんの役割があります。
だ液の正体についてお話ししたいと思います。
①血液から作られます。
だ液は透明な液体なので、水分が姿を変えたものだと思っているかたのいるかもしれませんが、唾液はもともと「血液」です。
水分を摂取すると、胸骨などにある骨髄で血液が作られ、その血液が唾液腺にて唾液をつくりかえられます。
水を飲んですぐに唾液になるのではなく、1回血液になってから唾液になります。
②1日1~1.5ℓ作られます。
健康な成人の場合、唾液は1日に約1000~1500ml、じつに500ml入りのペットボトル2~3本分作られます。
1日のうちでも唾液の出る量は変化していて、とくに就寝時に低下します。
ちなみに、唾液の分泌量は加齢とともに低下していく傾向があります。
③唾液腺で作られます。
だ液が作られる唾液腺は、お口のなかに大小複数存在し、大きさにより「小唾液腺」と「大唾液腺」に分けられます。
耳下腺、顎下腺、舌下腺の3つが「3大唾液腺」と呼ばれ、とくにたくさんの唾液を作り出します。
だ液は私たちのお口の中で、どんな働きをしているのでしょうか。
①お口を清潔に保つ
だ液には、食べかすや細菌を洗い流して、お口を清潔に保つ自浄作用があります。
だ液が減り口の中が汚れやすくなると細菌が繁殖しやすくなります。
すると細菌の塊でもあるプラークが増えていき、むし歯や歯周病といったお口の病気になりやすくなってしまいます。
②お口の粘膜を守る
だ液が減るとお口の粘膜の潤いが足らず、傷ついて口内炎などになりやすくなるといわれています。
③お口の中を中性に戻す
お口の中は飲食をすると細菌の出す酸や飲食物の酸により、PHが酸性に傾いていきます。
だ液の正常なはたらきによりPHを中性に戻す作用があります。
などいろいろな役割をしてくれます。
だ液をたくさん出すにはよくかむことが重要です。
よくかむために大切なことといえば、よく噛めるお口が維持されていることです。
かみ合わせが悪ければ、それだけ咀嚼機能はさがります。
よく噛めるお口を維持するのが歯科医院です。
むし歯や歯周病があってはしっかり噛めませんので、治療を受けましょう。
治療が済んだ後も定期的に歯科医院に通って、異常がないかチェックしてもらうのが大切です。