歯科衛生士がお話しする歯の講座の第66講目です。
猛暑が続いていますね。
くれぐれもお身体に気を付けて夏を乗り切りましょう!
前回より補綴についてお話ししています。
今回はその続きです。
かぶせ物のお悩みでよくあるのが、歯ぐきの境目にかぶせ物のふちが目立つことです。
プロビジョナルレストレーション(かぶせ物の出来上がりを想定した精巧な仮歯)ではかぶせ物のふちが歯ぐきにピタリと隠れるかどうかを仮歯で厳密に試し、歯ぐきのボリュームの変化を診ながら、時間をかけて仕上げていきます。
そして、顔うつりを確認し、患者さんのご希望を反映しやすいので、本番のかぶせ物も、満足度の高い仕上がりのなるといわれています。
程度の差こそあれ成人の8割が歯周病だという現在、「きれいなかぶせ物」をつくる前に歯周病の治療が必要のない患者さんは非常にまれです。
プロビジョナルインストレーションでは、かぶせ物と歯ぐきのフィッティングを、仮歯を使って何度も繰り返し修正します。
治療が進むにつれて健康を回復し変化していく歯ぐきが、最終的にどの程度のボリュームで落ち着くかをじっくりと見極めれるので、歯ぐきと調和するかぶせ物を精密に作りやすいのです。
歯周病で歯ぐきが腫れた患者さんが、「審美的なかぶせ物を入れたい」という場合、まず歯周病の治療をして歯ぐきの炎症を取り除く必要があります。
歯ぐきに炎症のある状態で急いでかぶせ物を入れました。
歯ぐきの腫れがひくとかぶせ物のふちが外から見えるようになりました。
歯ぐきのボリュームの変化を見極めずにかぶせ物を入れると、歯ぐきが変化したとき、境目にかぶせ物のふちがみえて審美性が損なわれます。
歯ぐきがはれて出血するような状態では、ピンク色の歯ぐきがかぶせ物と調和する「美しいかぶせ物の治療」は望めないといわれています。
歯ぐきの生命反応は患者さんごとに異なり、十分に厚みが回復していく方もいれば、薄くとどまる方もいます。
回復具合を見極めピタリと合うかぶせ物を入れるには、歯ぐきの生命反応が落ち着くまでじっくりと調整を重ねていく「プロビジョナルインストレーション」が有利だというわけです。
「うつくしいかぶせ物」は、急ぎ仕事では入れれません。
このことをご理解いただき治療に通っていただければと思います。
また次回へ・・・