歯科衛生士がお話しする歯の講座の第73講目です。
そろそろ木の葉も色味を変えてくる季節となりました。
食欲の秋・スポーツの秋・読書の秋でもありますね。
さて、歯磨きの科学のシリーズ2回目です。
今回は、「1日に何回磨くと効果的?」というテーマでお話しします。
歯みがきは、回数より質です。
科学的根拠のある歯磨き法は、実は、「最低でも1日1回、しっかりとバイオフィルムやプラークを除去する」ことといわれています。
残念ですが、回数だけで増やせば効果が上がるというものでもありません。
ただし歯磨きのたびにフッ素配合歯磨き剤を使えば、フッ素による虫歯予防効果は期待できます。
虫歯菌が糖を取り込んでバイオフィルムをつくるまでには約18時間といわれています。
そのバイオフィルムが熟成ししつこいベタベタになるまで3~4日です。
また、歯周病菌は一晩放っておくと1000倍に増えます。
ということは、細菌が隠れている場所を狙って、最低1日1回、きちんと歯磨きしてみがいておけば、むし歯や歯周病が勢力を伸ばしてしまう前に、先手必勝で彼らの活動を抑え込むことができるというわけです。
そこで「朝は忙しくて」というかたなら、朝はデッキブラシタイプの歯ブラシでざっと磨き、足りない分を1日の終わりのほっとできる就寝前にみがく、というのはいかがでしょう。
1日1回は、むし歯菌と歯周病菌の隠れている場所を意識してていねいに磨き、フロスや歯間ブラシも使ってお掃除しましょう。
また、朝はデッキブラシタイプで歯面を中心に、昼はテーパード毛タイプで歯周ポケットを、夜は両タイプの歯ブラシに加えフロスか歯間ブラシでお掃除するといった道具の使い分けも、マンネリに陥りにくいかもしれません。
自分に合うやり方を工夫してみましょう。
そして歯磨き剤は毎日お使いいただくほうがいいでしょう。
現在国内で販売されている歯磨き剤には、歯の結晶をよりスピーディーにつくって酸で溶けた歯を修復してくれるフッ素や、細菌の増殖を抑える殺菌剤など、とても重要な有効成分が入っているからです。
また、歯磨き剤というとよく話題になる研磨剤も、ご心配に及びません。
現在、薬局や歯科医院でふつうに売られている医薬部外品の歯磨き剤なら、よほど強いヤニ取り効果のある製品でもない限り、歯よりもやわらかい高品質の研磨剤が入っており、歯を摩耗させる心配はないといわれています。
続きはまた・・・