歯科衛生士がお話しする歯の講座の第87講目です。
花粉症にお悩みのかたも多いのではないでしょうか。
ことしはやっかいみたいですね(;^ω^)
さて、人間と動物の歯の比較はされたことありますか?
今回は歯の不思議についてみていきたいと思います。
ほとんどの脊椎動物(魚類・哺乳類など)には歯があるが、同じ脊椎動物でも鳥類の祖先といわれている始祖鳥の化石には歯が存在したものの、進化の過程で歯を失ったそうです。
現在の鳥には2つの胃があり、前胃の分泌物(強力な胃酸のようなもの)で食物を分解した後、筋胃(きんい)に飲み込んだ砂を使って食物をさらにすりつぶすのだそうです。
ほかの動物の奥歯と同様の働きをしている筋胃(きんい)は、焼き鳥店でおなじみの砂肝です。
やはり奥歯は必要なのでしょうか。
ライオンなどの肉食動物は、人間の犬歯(糸切り歯)のように尖った歯ばかりで、人間のようなへらべったい臼歯(奥歯)はありません。
「新版 歯から始まる怖い病気」(波多野 直樹 著)によると、ライオンは捕獲した草食動物の小腸を食べることで、捕獲の胃腸の中で消化された植物からビタミンやミネラルを補うことができるため、植物をすり潰すへらべったい歯がなくても問題ないという。
逆に言えば、獲物を捕らえる鋭い歯(牙)を失った瞬間に生命を失います。
脊椎動物ではないが、カタツムリにも歯があります。
「歯舌」」と呼ばれる器官で舌のようなものの周囲に2万本もの歯が生えていて、植物の実や葉を削るのに使っています。
便利なことに、この歯はすり減ってもまた生えてくるそうです。
うらやましいですね。
人間と動物の歯の比較
人間
永久歯28~32本
上あごは切歯2、犬歯1、小臼歯2、大臼歯3が左右にあり、下あごは切歯2、犬歯1、小臼歯2、大臼歯3が左右にあります。
歯には3種類あり、切歯(前歯)では食べ物をかみ切り、前歯の隣の犬歯では食いちぎり、奥歯の臼歯ではすり潰す。
奥歯を1本失うとかみ砕く能率は約40%低下します。
ライオン
永久歯30本
上あごは切歯3、犬歯1、前臼歯3、後臼歯1が左右に。
すべての歯が鋭く尖り、なかでも牙(犬歯)が大きく発達している。
生後すぐから乳歯が生え始め、3か月頃には肉を食べている。
8か月で永久歯が生えそろう。
鳥
0本
1億5000万年前、始祖鳥には歯が生えていた(上あごに26本、下あごに22本)。
だが、進化の過程で歯を失い、代わりにくちばしで食べるようになった。
カタツムリ
2万本
小さい歯が2万本ならんだ歯舌がある。
やすりのような形で、前後に動かしながら、葉などを削ってくるが、何度でも生え変わる。
ライオン、鳥、カタツムリからみた人間の歯の不思議・・・いかがでしたか。