歯科衛生士がお話しする歯の講座の第93講目です。
朝晩は冷え込むようになり、季節が進んできましたね。
もう半袖の出番は終わりですね。
さて、今回からは「歯周病とからだの病気」についてお話ししたいと思います。
お口の病気である歯周病。
じつは全身の健康にも影響することをご存知でしょうか。
歯周病が関与すると考えられている病気はいくつもあるのですが、今回は長年の研究からとくに関連性が高いと考えられているものを取り上げ、歯周病の果たす役割をご説明します。
事件はからだのなかでも起こっている!
お口の病気である歯周病がからだの病気に関与するというはなしは、皆さんも耳にしたことがあるでしょう。
歯周病が全身の健康に及ぼす影響は、長年、国外で研究されてきました。
それぞれの病気によって、歯周病菌の果たす役割は異なります。
歯周病菌自体が直接的に悪さをすることもあれば、歯周病菌が起こす炎症が引き金となって、全身の病気に拡大することもあります。
歯周病がおなかの赤ちゃんに影響?!
歯周病が悪さをするのは、おとなのからだだけではありません。
なんと生まれてくる赤ちゃんにも影響する可能性が・・・・?!
タバコやアルコールなどが早産・低体重児出産の関わることは知られていますが、歯周病も一因になると考えられています。
早産とは、妊娠37週未満での出産。低体重児とは、出生児の体重が2500未満での出産のことを言います。
いま考えられているケースのうち2つを紹介しましょう。
①まずは歯周病が起こす炎症が悪さをするパターンから。
通常のお産の場合、母体の変化かや胎児の成長によって、妊婦さんの体内ではさまざまな炎症物質やホルモン、たんぱく質分解酵素の濃度が上昇し、出産が促されます。
対して、進行した歯周病の場合、炎症物質が歯ぐきから体内に入り込むようになります。
炎症物質の増加はたんぱく質分解酵素の分泌を促進し、子宮の収縮を引き起こします。
子宮の筋肉が収縮する結果、赤ちゃんが押し出されて予定より早く生まれてしまうのです。
②くわえて、歯周病菌が子宮内部の器官に感染するパターンも考えられています。
羊水や羊膜などへの細菌感染は、早産や、胎児の発育不全のリスクとなります。
羊水は、無菌的な環境ですが、早産の妊婦さんの羊水や臍帯から歯周病菌が検出されたという報告もあります。
いつか赤ちゃんをと思っているかたは、歯周病の治療を早めにすませましょう。