歯科衛生士がお話しする歯の講座の127講目です。
9月になり今年も残り4か月となりましたね。
残りの4か月、年末にむけて歯の治療をひと段落したい、きれいな状態で年を越したい、歯でもいろいろな思いがあるかと思います。
お口の健康を見直して2020年の締めをいたしませんか(*^-^*)
さて、昨今、食支援に対して関心が高まる中、{嚥下}について取りざたされることが多くなりました。
しかし、嚥下の前段階である「咀嚼」がうまくできていなければ、一連の動作として機能しません。
「噛むことは健康維持に大切」ということは、なんとなくわかってはいるものの、それはなぜなのでしょうか。
考えていきたいと思います。
時代の変化とともに、食事の際に私たちが咀嚼する回数はどんどん減っています。
「咀嚼」を見直す意義をみていきましょう。
カレーは飲み物?
時短で食事が済まされることが多くなった現代社会です。
忙しさにかこつけて空腹を満たすだけの食事が横行しているようですが、それとなくエネルギーを摂取するだけの食習慣になってないでしょうか?
仕事・育児・家事に追われて忙しい日々を過ごしている現代人には、それは何の変哲もない日常の習慣なのかもしれません。
しかし、時間に追われて早食いになると、咀嚼回数が顕著に減少するため、食物を歯でかみくだき、舌で唾液と混和して十分に食塊を形成しないまま飲み込むようになります。
さらに、時間がないからと言って早食いに適した食事メニューを選択すれば、そもそも咀嚼する必要がありません。
例えば、カレーライスや麺類、お茶漬け、雑炊などは、それほど噛まなくても飲み込めてしまいます。
特に麺類は、あえて噛まずにのど越しを感じたいという人さえいます。
食べ方が問題なのか、選択する食形態が問題なのか、どうなのでしょう。
いささかややこしい話になりますが、いずれにしても人間の食べ方は、小さいころからの食習慣とそれにともなう口腔機能の発達が影響しています。
特に、幼少期より成長の過程でほとんど噛まなくてよい食事が習慣化すると、いわゆる「流し込み食べ」という食べ方が身についてしまうといわれています。
食物を捕食したあと、噛みながらお茶やジュースで飲み込んでしまう食べ方です。
学校給食の現場でも問題になっており、給食を牛乳で流し込んで食べるこどもたちが増えているといわれています。
普段の食生活と食べ方には密な関係があるといえるのではないでしょうか。