歯科衛生士がお話しする歯の講座の第135講目です。
11月に入りいよいよ冬支度ですね。
今年も御堂筋のイルミネーションもきれいでクリスマスが待ち遠しいです( *´艸`)
さて、歯周病の治療を行っている患者様から、治療後は歯茎が下がるの?と質問を受けました。
今回はこの質問についてお話ししたいと思います。
歯ぐきが下がる一番の原因は、歯周病の進行による「あごの骨(歯槽骨)の破壊」です。
歯は土台となるあごの骨に埋まるように生えています。
そして歯をぐるりと囲むあごの骨にかぶさるように、歯ぐきが付着しています。
歯周病が進行すると少しずつあごの骨が破壊されて、溶けて沈んでいきます。
いわば「地盤沈下」の状態で、これにともないあごの骨に付着している歯ぐきも一緒に下がっていくのです。
また、歯周病で起こる歯ぐきの炎症も、歯ぐきが下がる一因です。
炎症が続き歯ぐきの組織が破壊されるとその付着が低下し、あごの骨や歯からはがれやすくなります。
といっても、みなさんはこの状況は気づきにくいものです。
歯周病が悪化して痛みや出血があり歯科医院に駆け込むときはたいてい、歯ぐきが腫れて歯にかさぶるように盛り上がっているからです。
その様子は健康な歯ぐきのようにも見えます。
ですが、これはきわめて病的な状態です。
歯ぐきの炎症は歯周病菌が体内に侵入するのを防ごうとするからだの反応で、病原菌を撃退するために、白血病などが毛細血管を通じて歯周病菌のいる歯ぐきに集まるといわれています。
すると血管が充血して太くなるので、歯ぐきが腫れ、赤く見えるようになります。
集まってきた白血球からは、細菌を殺す炎症物質がさかんに産生されます。
この炎症を放置すると痛みや腫れはさらに悪化し、膿なども出て歯周病がさらに進みます。
そのため、治療では歯周病菌のかたまりであるプラークや歯石(プラークが石灰化したもの)を徹底的に取り除きます。
こうした処置と患者さん自身の治す力により歯周病菌の活動がおさまると、歯ぐきの腫れは消失します。
しかし、この結果、歯ぐきはあごの骨の位置にまで沈むので、歯周病が進んであごの骨が溶けて減っている場合は、治療前に比べ大きく歯ぐきが下がって見えるのです。
歯の根(歯根)が見える位置まで下がり、歯と歯の隙間が目立つようになることもあります。
歯周病治療で歯ぐきが下がることは、避けられないことが多いです。
歯を失わない段階で治療ができたことを前向きにとらえこれ以上に歯周病が進まないように、定期健診に通ってください。