歯科衛生士がお話しする歯の講座の第152講目です。
卒業のシーズンを迎え、公園の桜が咲き始めましたね。
雨で散らないか心配の日々です(;’∀’)
今年度も終わりに近づいてきました。
新しいスタートを迎える準備ですね!
さて、噛むことの価値についてお話ししたいと思います。
噛むことの役割
嚙むことは食べたものを粉砕することです。
細かくして唾液と混ぜ合わせ、飲みやすい状態にする役割があります。
それが胃腸への負担を軽減したり、栄養を吸収しやすくしたりすることにつながります。
「咀嚼」は私たちの健康にたくさんの影響を及ぼしています。
例えば、噛むことで脳の血流がアップして記憶力の維持につながるというデータがあります。
あるいは目の周りの血流がアップして目の疲労感が軽減されるというものです。
噛むという一定のリズム運動によってセロトニンが分泌され、ストレスを軽減するという機能もあります。
咀嚼によって脂肪燃焼率が高まるというデータもあるといわれています。
ものを噛みながらウォーキングをすると、スピードが自然と速まるといわれています。
それでカロリーの消費量がアップすると考えられています。
新たな注目は噛むことと唾液の関係性です。
唾液の中にはさまざまな抗菌・免疫物質が含まれていて、口のなかに細菌やウイルスが入ってきたときに私たちの体を守ってくれています。
その免疫物質の1つ「IgA」の分泌が「噛む」という刺激によって増えるという報告があるといわれています。
最近の研究結果でもガムを嚙む群、噛まない群、タブレットだけの群、それぞれ「唾液中への時間当たりの「IgA」分泌が安静時と比較してどれくらい増加したか、を調べた結果ガムを嚙んだ群が一番だったといわれています。
タブレットは味が残っている間は作用します。
一方、ガムは味だけでなく咀嚼の刺激も与えられることから、こうした結果につながっていると考えらています。
また、味がなくなった後も噛んでいるあいだじゅう唾液が出続けるため、「IgA」分泌にプラスになることが示唆されています。咀嚼によって積極的に「IgA」分泌が行われるというのは、とても意義のある知見ではないかといわれています。
子どものころから噛む習慣をつけるの大きなメリットがあるといわれています。
その一方で、最近はやわらかい食事がふえ、咀嚼回数が減っているという現実があります。
お子さんをはじめ、各世代の人達が噛む大切さを自分事としてとらえ、生活のなかに積極的に取り入れたくなるように、将来の健康にとても重要だということを実感していただきたいです。