歯科衛生士がお話しする歯の講座の第156講目です。
最近は黄砂や乾燥などで天気もいいのに不安定な日々ですね(;^ω^)
うまく換気もしながら、空気がきれいになるように部屋の掃除に力が入ります!!
さて、前回より、お口の健康についてお話ししております。
今回も続きです。
きれいなお口は感染症予防の基本
誤嚥性肺炎などの感染症の予防には、お口の清潔が不可欠です。
「口は災いの元」であることを示す顕著な例といえるでしょう。
高齢者の命を奪い続ける誤嚥性肺炎
肺炎は、細菌やウイルスが肺の奥にある肺胞に入り込み、そこで繁殖して炎症を起こす病気です。
一方、誤嚥性肺炎は、唾液や飲食物に含まれる細菌が誤って肺に入り込み、そこで繁殖して肺炎を起こします。
唾液や飲食物は、普通なら食道に入って胃に行くのですが、空気の通り道である気道に誤って入り込んでしまうのです。
加齢により、のどまわりの筋肉が衰えた高齢のかたがかかることが多く、日本人の死因の第6位を占める怖い病気です。
誤嚥性肺炎の予防には、歯科衛生士さんなどの専門家による口腔ケアが有効であることが、複数の研究から明らかになっています。
お口のなか、つまり唾液にふくまれる細菌が減れば、誤嚥が起こっても肺炎につながる危険性が減るためです。
予防には、歯医者さんで定期的にお口をクリーニングしてもらうのにくわえ、セルフケアの指導を受けてご自身の歯磨きをレベルアップすることが大切といわれています。
感染症といえば、いま気になるのが新型コロナウイルスかと思います。
ウイルスはヒトの特定の細胞を乗っ取ることで増殖します。
お口から入ってくる場合、舌やのどなどお口の粘膜に付着し、そこから細胞内に入り込みます。
ヒトのからだをひとつのマンション、細胞をそのなかにある部屋と考えてみましょう。
新型コロナウイルスの表面には「スパイクたんぱく質」という突起が存在するといわれています。
お口のなかに入り込んだ新型コロナウイルスは、さらに奥深く、血管や肺の細胞へと侵入し、増殖していきます。
新型コロナウイルスの研究はまだまだわからないことが多く、はっきりとしたことはまだ明言できないといわれていますが、お口のなかの細菌が、ウイルスの侵入を手助けしているという説もあります。
むし歯や歯周病は細菌が原因で、歯石やプラークの溜まったお口は細菌がたくさんいる証拠です。
ですから、誤嚥性肺炎もふくめて感染症予防の基本は、きれいなお口を維持することにあるといえるのではないでしょうか。